最近すこし見づらくなってきたからメガネを掛けた方がいいのかな・・?
でもメガネを掛けるともっと視力が悪くなるんじゃ・・。
なんて不安がありませんか?
ちまたでは「メガネを掛けると視力が落ちる」という都市伝説を信じて、メガネを掛けることをためらう人が多いようなんです。
実際に、ある大手メガネ会社が調査した結果によると、
メガネやコンタクトをつけることで視力が落ちると思いますか?
という質問に対して、10代〜60代すべての世代で50%以上の人たちが『YES』と答えました。
ですがこの都市伝説を信じてしまうと、大きな代償を支払わないといけなくなるかもしれませんよ。。
ここでは「メガネを掛けると視力が落ちる」という説に対して、認定眼鏡士の葉月が学術的にそして独自の見解を交えてお伝えしていきます。
- メガネを掛けると視力が落ちるの?
- 視力が落ちると言われる理由とは?
- 見づらいままだとどうなるの?

「メガネを掛けると視力が落ちる」は嘘だった‼
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いままでメガネを掛けたことがない人からしてみると、メガネという未知のアイテムに対して恐れを抱いてしまうのも分からなくはありません。
もし「メガネを掛けると視力が落ちてしまう」という説が本当だったとしたら、「多少見えなくてもメガネを掛けないほうがいいんじゃん!」と思うはずです。
ですが、実際のところは「メガネを掛けると視力が落ちる」という説は、医学的にも因果関係は確認されていません。
これは目が見えづらくなる原因や、メガネがどんな役割をはたしているのか?を知ってもらうと分かってきます。
そもそも目が見えづらくなる原因は何?
これは『屈折異常』と言われていて、「軸性」「屈折性」の2種類に分けられます。
軸性(説)
眼球の大きさが大きかったり小さかったりすることで、眼に入ってきた光の情報が奥にある網膜にぴったりピントが合わないため、はっきりと物を見ることができません。
屈折性(説)
角膜や水晶体などの光を曲げるチカラ(屈折力)が強すぎたり弱すぎたりすることで、網膜にピントが合わないため、はっきりと物を見ることができません。

そして、これらの原因については遺伝的な要因がつよいと考えられています。
『屈折異常』なんて怖い響きに聞こえますが、言い換えると、体格が大きい人や小さい人、それに色んな顔の人がいるように一人ひとりの個性だと考えるといいんじゃないでしょうか。

メガネはどんな役割をしているの?
初めてメガネを掛けた人の反応をみると、まるで魔法にかかったかのように目を輝かせて「見える!スゴイ‼」と感動を表現してくれます。
もちろんメガネは魔法のアイテムではなく、実はとても単純な原理でできているんです。
見えるようになれ〜♪
物を見たとき、その情報が光として目に入ってきます。そして”眼球の奥にある網膜に届かない(近視)“、または”行き過ぎる(遠視)“ことでピントが合わないものを、メガネのレンズを通して光の距離を”伸ばし”たり、”短くする”ことで網膜にピントを合わせてあげます。

メガネはこんな単純な原理で成り立っているんです!
なぜ「メガネを掛けると視力が落ちる」と言われるの?

この発端は「メガネを掛けた人の感じ方」と「メガネ店がメガネを作るときの決定度数」に原因があると考えられます。
メガネを外すといままでよりも見づらいと感じる
いままでメガネを掛けたことがない人は、周りがぼやけて見えていたとしてもそれが当たり前の日常となっています。
ですがメガネを掛けてハッキリと見える環境を体験してしまうことで、メガネを掛けているときと外したときの差が大きく感じられてしまいます。
それによって、”裸眼で過ごしていたときの方が見えていたような錯覚“に陥ってしまいます。
ですが、これも視力が更に低下してしまったわけではなく因果関係も確認されていません。
メガネ店の決定度数にも関係が⁉
いままで長年の間、眼やメガネについても色々な研究がされてきました。
そして約20年くらい前まではある間違った仮説が立てられていました。
子供の眼球は成長に合わせて少しずつ成長していきます。
そのため遠くがよく見えるようにしっかり視力矯正をしたメガネを掛けてしまうと、それが影響して眼球が伸びて大きくなり度が進行してしまう。
それによって
ただそれだけではなく、初めてメガネを掛ける人にはもちろんですが、普段メガネを掛けている人がメガネの度を強める場合も、度を弱めに作った方が目の負担が少なく慣れやすいという理由もあります。
また、私が対応させていただいたお客様の中にも『度を上げてしまうと余計に悪くなってしまうよね!』と思い込んでしまっている人が多くいらっしゃいました。
ですので、本来1.0に合わせた方がハッキリ見えていい場合でも、弱めの0.7程度に抑えてメガネを作ることで、慣れた頃にまたすぐ見づらく感じるようになってしまいます。
度が弱いメガネを掛けた子どもの視力が余計に悪くなってしまう」ことが明らかになりました。
2002年に行われた臨床実験の結果、「また、度が弱いメガネを掛けることのメリットも確認されませんでした。
この結果によって、ほとんどの眼科医が度が弱いメガネの処方をしなくなりました。
見づらいままだと起こりうる大きな代償

メガネを掛けていない人でも、自分が生活をしている環境において見づらさや不自由を感じていなければ、急いでメガネを作る必要はないと思います。
ですが遠くや近くが見づらいのに、そのまま放置してしまうと思いも寄らない弊害に見舞われる可能性も出てきてしまいます。

眼球が伸びて、近視が進行する⁉
東京医科歯科大学附属病院眼科の大野京子教授は、子供の成長期における眼の様子を次のように語っています。
『見づらい状態で目を細めて無理に見ると、まぶたで眼球を圧迫し、眼球を伸ばすことになる。特に成長期の子どもは、放置すると近視の進行を早める可能性もある』
時事メディカル:医療ニュース
我慢していると、目の奥の痛み、頭痛や肩こりに⁉
例えば、本や新聞の字など近くが見づらくなってしまった場合、「老眼」の可能性が考えられます。
でも自分が老眼だなんて受け入れたくなですよね!
そのため、近く用のメガネを作りたくない人は大勢いらっしゃいます。
ですがそれについて専門家から次のように意見が出ています。
見づらいのを我慢していると、頭痛や肩こりの原因にもなります。老眼が進行する前に老眼鏡を作りましょう。
度が進むほど、つまり近いところと遠いところを見るときの差が大きくなるほど、老眼鏡を初めてかけたときになれるのが難しくなります。
国立 眼科|みたにアイクリニック
放置していると、メガネを掛けても視力がでない⁉
これはメガネ店に勤務している人のあいだではあるある・・の話です。
このようにいままでメガネを掛けずにいた人が、必要な視力を求めてメガネ店に駆け込んでくるも、いざ測定してみると視力がでない・・
こういう場合には、眼病や脳障害が絡んでいる可能性が考えられます。
- 角膜や水晶体が濁っている(角膜混濁・白内障)
- 目で見た像を写す網膜に異常(加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫など)
- 視神経から脳へ伝達する神経回路に障害(視神経炎など)
- 脳の視覚をつかさどる後頭葉に障害(脳梗塞・脳腫瘍)
参考:幻冬舎GOLDONLINE「メガネをしても見えない!「矯正視力低下の危険性とは?」板谷アイクリニック銀座 院長板谷正紀」
これらはほんの一部ですが、こういった原因がもとで視力が低下して見づらくなってしまっていることが少なくありません。
メガネ店では何が原因で視力が出ないのかを特定できないため、眼科へ誘導することしかできません。
ですが、ですので、急に見づらくなってしまったり視力が低下してきてしまったら、放置せずに眼科に相談されるか、いきなり眼科は気が引ける・・という方はメガネ店で視力測定をされることをお勧めします!
まとめ

ここでは「メガネを掛けると視力が落ちる」という都市伝説を信じて、そのままにしておくと起こり得る大きな代償について解説してきました。
- 「メガネを掛けると視力が落ちる」は嘘
- メガネを掛ける前より見づらく感じるのは錯覚
- 度が緩いメガネはすぐ見づらくなる
- 見づらさを我慢すると頭痛や肩こりの原因に!
- 視力低下には眼病や脳障害が絡んでいる可能性も!
結局、単なる都市伝説に過ぎませんでしたが、それを信じて見づらい環境を我慢してしまうことで、思ってもみなかった重い病気を見落としてしまうことにも繋がります。
そうなる前に、見づらくなったり「視力が下がったかも・・」と感じたら、まずは眼科で相談してみてください。
いきなり病院は抵抗があって行きづらい人は、メガネ店ならだいたいどこでも視力測定は無料でしているので、気兼ねなく相談してみるといいですよ!
眼は脳と直結していて”第二の脳”と言われるほど大切なものです。
眼の不調は神経や脳に原因があるかもしれません。
くれぐれも目をいたわって快適な生活を送ってくださいね。