こんにちは。
認定眼鏡士の葉月です。
今日は眼の状態にあわせて、どんなレンズを使って視力の矯正を行うかについて解説していきます。
ここでは比較的聞き慣れた「近視・遠視・老視」の矯正につかう単焦点レンズにフォーカスします。
単焦点レンズ

単焦点レンズは読んで字のごとく、焦点が一つだけのレンズです。
単焦点レンズのメリットは、レンズ周辺に生じる歪みが少なく違和感を感じにくいのです。
ですので初めてメガネを掛ける人でも、慣れやすく快適な視界を得られやすいのです。
大きく分けると下記の3つの視力矯正に用いられます。
近視の矯正
近視は、眼球の長さが長いことや、角膜や水晶体の屈折力が強いことが原因です。
それにより、眼に入ってきた光が眼球の奥にある網膜まで届かず、手前で像(焦点)を結んでしまうのでハッキリと見ることができません。
[学術的定義]
無限遠方に発した平行光線が、網膜の前方に像を結ぶ状態
【近視の度数による分類】
・弱度近視:-0.50D〜-3.00D未満
・中度近視:-3.00D〜-6.00D未満
・強度近視:-6.00D以上
近視の矯正レンズ
近視の場合は、凹レンズを使って眼に入ってくる光の入射角度を広くすることで、光が網膜に届くようにします。

遠視の矯正
遠視は、眼球の長さが短かいことや、角膜や水晶体の屈折力が弱いことが原因です。
それにより眼に入ってきた光が、網膜の後方で像を結んでしまいます。
弱度の遠視であれば調節すれば見えますが、中度以上となると調節しきれないためハッキリと見ることができません。
[学術的定義]
無限遠方に発した光が、網膜の後方に像を結ぶ状態
【遠視の度数による分類】
・弱度遠視 :+2.00D以下
・中度遠視 :+2.00D〜+5.00D未満
・強度遠視 :+5.00D〜+10.00D未満
・最強度遠視:+10.00D以上
また遠視は、度数と調節力の関係によって下記の3種類にも分類されます。
- 絶対遠視
調節力が全くないか、遠視の度が調節力を上回って快適に見える領域(明視域)がない状態。
遠くも近くも良好な視力が出ない。 - 相対遠視
ある程度の遠視がありますが、調節することで遠方をハッキリと見ることができます。ですが、近くを見るにはかなりの調節力が必要となってしまいとてもツラく、輻輳が強く働いて内斜位や内斜視状態になってしまう遠視。 - 随意遠視
遠視の度よりも調節力が大きく、遠くも近くも良好に見ることができます。
自覚症状がなく、正確な検査でないと遠視だと分かりません。
30代までの弱度遠視のほとんどは、この随意遠視に該当します。
遠視の矯正レンズ
遠視の場合は、凸レンズを使って眼に入ってくる光の入射角度を狭くすることで、手前の網膜に像が結ぶようにします。

老視の矯正
老視は、40代を目安に、眼の水晶体の弾力性が低下することで、近くの作業に必要な調節力がおとろえてくる状態のことです。
また老視は、近視や遠視に関係なく年齢に伴って起きる現象の呼び名と捉えてもらえると区別しやすいです。

老視の矯正レンズ
老視の場合は、近視か遠視かによって凹レンズと凸レンズのどちらかで矯正します。
そして検査によってその人がもつ眼の調節力を測定したうえで、目的の距離に合わせて度数を合わせていきます。
まとめ
ここではメガネの単焦点レンズの矯正について解説してきました。
- 近視:凹レンズで入射角度を広げる
- 遠視:凸レンズで入射角度を狭める
- 老視:目的の距離に合わせて凹レンズ凸レンズを使い分ける