認定眼鏡士の葉月です!
いきなりですが『メガネを掛けても視力が出ない』とメガネ店で言われた経験はありませんか?
そういう人は比較的、目の度が強い人に多いようです。
自分の視力が出づらいと、不安になったり劣等感を感じてしまう人もいます。
ですが過度に心配する必要はありません。
その理由を受け止めて対処法を知ることで、これからの快適な視界に繋げていきましょう!

メガネで視力がでない2つの理由

店舗にご来店いただくお客様の中には、
とおっしゃる方がとても多かったのを覚えています。
でもメガネは奇跡を起こす魔法の道具ではありません。
希望した視力が出ない人にはいくつかの原因が考えられます。
意外なところに原因があるかもしれません。
もしかすると、あなたの視力とは別の
①担当者の技術不足
同業者なのであまり大きな声では言えませんが、個人的には低くない確率でありえることだと思っています。
メガネ店の店員さんは専門職で特別な存在のように感じている人も多いはずです。
「0.7以上視力はでません!」
そう言われると、納得しなくてはいけない雰囲気になってしまうかもしれません。
でもその理由について、あなたが理解できるような言葉で説明がありましたか?
お客様とのコミュニケーションが少なく一方通行な測定をしていたり、強引な説明で押し切ってしまう店員さんもいますので注意が必要です。
一般の人からすると見抜くのは難しいことですが、そのような店員さんに遭遇して『断りきれずメガネを買ってしまう』ことが無いように、注意するべきポイントを解説していきます。
注意力・判断力に欠けている
私の知人の体験を例に出してみますね。
<目の状態>
近視と乱視
右目が斜位(隠れ斜視)
<担当者の説明>
「近視と乱視が混ざっていてこれ以上は視力が上げられません。」
「いままで1.0の視力を体験したことがない人は、メガネを掛けても1.0を見ることはできません」
- 間違った説明をしている
- 誤解を与えるような説明
- ピンホール検査がされていない
※説明を断片的にしか覚えていなかったとしても、お客様に誤解を与えてしまっていることが問題と考えられます
細かい説明については省略しますが、ここでの大きな問題点は「ピンホール検査」をしなかったことです。

これを行うことで、度数に関係なく眼球本来の『最高視力』を確認することができます。
もしこの検査をして1.0が見えれば、メガネの矯正の仕方に問題がある!
という見解になります。
このようにお客様に合わせて測定手順や用具を使い分けることが求められます。
それが出来ていなかった理由として考えられるのは3つ。
- 眼位のズレを発見出来ていない(問診で聞き出せていない)
- 視力が出ない理由に疑問をもっていない
- ピンホール検査の存在を忘れている・知らない
あくまでも持論ですが、経験年数や技術力がモノを言う専門的な業界なので、そこで長く働く人にはプライドの高い人が多いと思っています。
視力が出ないことをお客様の目のせいにしてしまう人が多いのも事実です。
ですので中には、経験から「視力が出づらい目の人もいるよね」くらいに思って自分の中だけで完結させてしまうのです。
本来は、お客様の接客やコミュニケーションを通して、眼位のズレなどの異常に気づいたり問診で聞き出すことで解決策に導く必要があります。
観察力・コミュニケーション力に欠けている
メガネ屋さんには、美容師さんや調理師さんと同じように知識はもちろん経験が大きく影響します。
さらに、
それらを基にしてお客様に合った視力測定方法やメガネの度数を導き出すひらめきとセンスとコミュニケーション能力がとても重要だと思っています。
測定担当者は、測定をしている最中もお客様の表情、目の動き、仕草、返答スピードなどを観察してそのお客様のクセや、いま表示している視標の”見える程度”を感じ取っています。
それによって、その人の”効き目を確認するテスト”をしなくても利き目が推測できたり、眼位の異常を見抜くことができます。
右目が利き目ね!
またお子様からご年配のお客様、そしてどのような環境や用途でメガネを使用されるのかなど、お客様から必要な情報を聞き出しそこから最適な度数を選んでお客様に提案しないといけんません。
それには、高いコミュニケーション能力が求められます。
メガネ店でいう”測定技術が高い”といわれる人には・・
- 観察力
- 質問力
- 提案力
- 技術力
- コミュニケーション力
この5つが備わっているはずです。
言い換えると、測定中に目が合わなくて会話が少ない高圧的な担当者さんは要注意です!
それと同じように注意すべきポイントをいくつか上げてみます。
- 接客が高圧的(自信家・配慮に欠ける)
- 専門用語が多い(プライドが高い)
- 質問・提案が少ない(コミュニケーション力に欠ける)
- 目が合わない(観察力に欠ける)
- 声が小さい(自信がない・消極的)
- 用具の取扱いがおぼつかない(熟練度に欠ける)
特に上の3つは個人的に要注意すべきポイントです。
メガネ屋さんはメガネの専門家ですが眼の専門家ではありません。
お客様に質問したり観察した情報を基に、コミュニケーションを取りながらお客様にあったメガネの度を導き出していくものです。
もし担当してもらった人の接客にあなた自身がアレっ?と違和感を感じるようでしたら、測定担当者を変わってもらったり、セカンドオピニオンとして他のメガネ店に移るか、眼科で処方箋を出してもらうことをおすすめします。

②眼病・眼位異常

メガネ店で視力が出ない理由として多いのが眼病です。
眼位異常については上の項目でも触れましたが、眼病については目で見ても分かりません。
それに医師免許を取得していないメガネ店の店員さんには、お客様にその可能性を示唆することはできても断定(診断)することは違法行為にあたります。
色々な測定方法を用いて測定してもお客様が希望する視力が出ないときには、眼科の受信を提案することも少なくありません。
ですが、それを未熟だからと決めつけないであげてください。
他に視力を出す方法があるかもしれないという可能性と選択肢を提案してくれているんです。
そのおかげで、眼科を受信して白内障や緑内障・・なかには思わぬ異常が見つかって良かった!という人もいらっしゃいます。
もしそのような提案をしてくれた担当者さんなのでしたら、親切で信頼できる方だと思います。
※メガネ企業の多くは、ノルマ制や店員ごとに販売額ランキングを表示しています。
希望の視力が出なくても、現状より視力が上がればOKでしょ!と購入を急がせてしまう店員さんもいます。
購入について『どうされますか?検討されますか?』と一言あるのが適切ではないかと思います。
眼位異常のプリズム矯正について
斜位(隠れ斜視)などメガネで視力矯正が可能な場合、プリズム矯正という方法を用います。
ですがこの矯正については、企業や店舗方針によって意見が別れます。
- プリズム矯正が必要な場合は眼科の処方箋を出してもらう
- プリズム程度の低い矯正の場合のみ行い、それ以上は眼科をすすめる
- 矯正が可能な限り独自で行う
①は熟練経験者が少ない低価格販売チェーン店(JINS.Zoff)に多く、②は熟練経験者も勤務している中価格〜高価格チェーン店が多いです。
【理由】
プリズム矯正が及ぼす眼への影響を十分に理解できないため。
私が店舗に勤務していたときに、プリズム矯正を行った熟練担当者に対して眼科の医院長から電話がかかってきたことがありました。
とても厳しい口調で言われたようでしたが、それには理由があります。
担当した熟練スタッフが、行き過ぎた無茶なプリズム矯正を行っていた。
※メガネ店でプリズム矯正を行うことはイケないことではありません。
必要に応じて矯正することも十分にあり得ます。
ですが中には、自分の技術をアピールするためにやたらとプリズム矯正を行うスタッフがいます。
ここで問題だったのは、”自分の技術に相当な自信を持っていた担当者が、お客様の反応を無視して自分の選択した矯正が正しいと強引にメガネを作ってしまった”ことにあります。
このように自信過剰でお客様の反応や言葉に耳を傾けない担当者も要注意です。
これがきっかけで、その眼科さんから当店を紹介してもらうことがなくなったどころか、メガネを購入することを避けるように言われるようになってしまいました。
眼位異常というのは、色々な症状を引き起こす可能性があります。
- 視力が出づらい
- 眼精疲労
- 頭痛・肩こり
ですのでメガネ店で眼位異常でプリズム矯正が必要といわれたときは、眼科さんで相談されるのが一番の解決策だといえます。

まとめ
今日は「メガネを掛けても視力が出ない」と言われる理由と、その後の対処法について解説してきました。
- ①店員さんの技術不足の可能性もあり得る
- 店員さんの様子も観察しよう
- コミュニケーション不足の店員には注意
- 測定をしてもらってから購入を検討する
- ②眼位異常・眼病の可能性
- 早めに眼科を受診しよう
- メガネ屋さんは「眼」の専門家ではない
あくまで例として理解していただけると嬉しいです。
メガネ店で勤務する人たちも、企業の教育や専門知識の勉強に励んでいる人がほとんどです。ですのでメガネを購入する際には頼るべき存在なのは間違いありません。
ですが、たまにプライドや技術に溺れて成長できない人がいます。
ですのでその存在と対処法を知っていれば、「断りきれずメガネを買ってしまう」ということを避けることができるかもしれません。
メガネ屋さんは「メガネの専門家」で、「眼の専門家」は眼科さんです。
そこをしっかり理解して使い分けるのも賢い選択の一つです。